iDeCo改正の概要と背景
少し前にニュースサイトiDeCoが2027年に大きく変わるという記事を見つけました。
気になり読んでみると、今回のiDeCoの改正は、私のような会社員、特に将来に備えたいと考えている人にとって、かなり大きな変化になりそうです。
掛金の上限が月62,000円になったり、加入が70歳まで引き上げられたりと大幅改正があるため、いくつか重要ポイントと今後の活用の仕方についてまとめてみました。
iDeCoとは?制度の基本を解説
そもそもiDeCoはどういう制度かというと…
iDeCo(イデコ)は「個人型確定拠出年金」の愛称で、ものすごく簡単に言うと「自分で作る、もう一つの年金制度」です。国が「老後のためにお金を貯めるなら、税金を優遇しますよ!」と応援してくれる、とてもありがたい制度なんです。
iDeCoのすごいところは、なんといっても税金のメリットが大きいこと。主に3つのタイミングで税金がお得になります。
- 掛けるとき(拠出時): 毎月の掛金が全額、その年の所得から差し引かれます(所得控除)。つまり、所得税や住民税が安くなるんです。
- 増やすとき(運用時): 投資信託などで運用して得た利益(運用益)には、通常かかる約20%の税金がかかりません。利益がまるまる再投資されるので、効率よくお金を育てられます。
- もらうとき(受給時): 60歳以降に受け取るときも、「退職所得控除」や「公的年金等控除」という大きな控除が使えるので、税金の負担が軽くなります。
難しい言葉はさておき、「税金がお得になる老後資金づくりのための、特別な貯金箱」みたいなイメージだと思います。
2027年度改正の具体的な内容
2027年12月(予定)から、このiDeCoがさらにパワーアップする見込みです。大きな変更点は2つあります。
拠出限度額の引き上げ
まず一つ目は、毎月積み立てられるお金(掛金)の上限額が変わることです。
これまで、会社に企業年金がない会社員(私のようなケースです)の場合、iDeCoの掛金上限は月額23,000円でした。これが、月額62,000円に引き上げられる可能性があります。
(※確定拠出年金(DC)の制度改正に関する専門委員会報告書に基づく内容であり、今後の法改正で変更される可能性があります。)
これは、企業型DC(会社が用意してくれる確定拠出年金)に加入している人との公平性を保つための見直しです。会社によって制度が違うことで生まれていた有利・不利をなくそう、という動きですね。
月々の上限が23,000円から62,000円になるのは、かなりのインパクトです。もちろん、上限いっぱいまで掛けるかどうかは個人の判断ですが、選択肢が大きく広がるのは間違いありません。
70歳までの加入条件の変更
もう一つの大きな変更点は、加入できる年齢です。
現在は原則65歳未満までしか加入できませんが、これが70歳未満まで引き上げられる予定です。人生100年時代と言われる中で、働き続ける期間が長くなっている現状に合わせた改正ですね。
60代になっても働きながらiDeCoで積立を続け、所得控除のメリットを受けられるようになります。長く働くことを考えている人にとっては、老後資金をさらに厚くするチャンスが広がります。

改正による税制面での影響
この改正、特に掛金の上限アップは、私たちの税金にどんな影響を与えるのでしょうか。
所得控除の拡充とそのメリット
iDeCo最大のメリットである「掛金の全額所得控除」。掛金が増やせるということは、このメリットも大きくなるということです。
例えば、年収500万円(所得税率10%・住民税率10%と仮定)の人が、iDeCoの掛金を増やした場合の節税額を比べてみましょう。
| 掛金(月額) | 掛金(年額) | 年間の節税額(目安) | |
| 改正前 | 23,000円 | 276,000円 | 約55,200円 |
| 改正後(仮) | 50,000円 | 600,000円 | 約120,000円 |
※所得税・住民税を合計20%として計算した簡易的なシミュレーションです。実際の税額は個人の所得や控除額により異なります。
このように、年間の節税額が倍以上になる可能性も。これは、手取り収入が実質的に増えるのと同じ効果があります。毎年これだけの金額が戻ってくると思うと、かなり大きいですよね。
退職所得控除に与える影響
iDeCoは「もらうとき」にも税金の優遇がありますが、ここで少し注意したいのが「退職所得控除」です。
iDeCoを一時金で受け取る場合、この退職所得控除が使えます。控除額は勤続年数(iDeCoの場合は掛金を拠出した年数)に応じて大きくなる仕組みです。
| 拠出年数 | 退職所得控除額 |
| 20年以下 | 40万円 × 年数 (最低80万円) |
| 20年超 | 800万円 + 70万円 × (年数 – 20年) |
例えば、30年間iDeCoに加入した場合の控除額は、
800万円 + 70万円 × (30年 – 20年) = 1,500万円
となり、受け取る一時金が1,500万円までなら税金はかかりません。
ここで重要なのが、会社の退職金も同じ退職所得控除の枠を使うという点です。もし同じ年に会社の退職金とiDeCoの一時金を受け取ると、合算して控除額を超えた分に税金がかかる可能性があります。
ただ、会社の退職金がない人にとっては、このiDeCoの退職所得控除をフルに活用できます。自分で作った退職金に、国が税金の優遇までしてくれる。そう考えると、退職金がないことは、iDeCoを活用する上ではむしろメリットとも言えるかもしれません。
iDeCo利用のメリットとデメリット
改正によって魅力が増すiDeCoですが、改めてメリットとデメリットを整理してみましょう。
老後資産形成への寄与
iDeCoは、なんといっても老後資金を計画的に準備するための強力なツールです。
- 強制力がある: 原則60歳まで引き出せないので、「つい使っちゃった」ということが防げます。意思が弱い私のようなタイプには、半ば強制的に貯まる仕組みはありがたいです。
- 複利の効果: 運用益が非課税で再投資されるため、雪だるま式にお金が増えていく「複利」の効果を最大限に活かせます。
掛金引き上げのリスクとリターン
掛金の上限が月62,000円に上がるのは嬉しいニュースですが、注意点もあります。
- リスク: iDeCoは元本保証ではない投資信託などで運用するため、市場の状況によっては元本割れする可能性もあります。掛金を増やすということは、その分リスクも大きくなるということです。
- リターン: 一方で、積立額が増えれば、将来のリターンも大きくなる可能性があります。節税効果も考えると、積極的に活用したいところです。
大切なのは、自分の家計状況とリスク許容度を考えて、無理のない範囲で金額を決めること。上限までやらないとと気負う必要は全くありません。
企業年金との併用方法
もしあなたの会社に企業型DC(企業型確定拠出年金)やDB(確定給付企業年金)がある場合、iDeCoとの併用には少しルールがあります。
今回の改正案では、これらの企業年金に加入している人も含めて、全体の掛金上限を統一する方向で議論が進んでいます。自分の会社の制度がどうなっているか、iDeCoと合わせていくらまで拠出できるのか、これを機に確認してみるのがおすすめです。

NISAとの比較
「iDeCoとNISA、どっちがいいの?」これは永遠のテーマですよね。私もすごく悩みました。
それぞれのメリット・デメリット
簡単にそれぞれの特徴を比べてみましょう。
| iDeCo | 新NISA | |
| 目的 | 老後資金(60歳まで引き出し不可) | 自由(いつでも引き出し可能) |
| 税制優遇 | ①掛金が所得控除②運用益が非課税③受取時も控除あり | ①運用益が非課税②売却枠の復活あり |
| 年間投資上限 | 職業などで異なる(改正後最大74.4万円) | つみたて投資枠:120万円成長投資枠:240万円 |
| 生涯非課税限度額 | なし(掛金上限のみ) | 1,800万円 |
一番大きな違いは、「引き出せるタイミング」と「所得控除の有無」です。
どんな人がiDeCoは向いている?
両方の制度を比較した上で、私が思う「iDeCoが特に向いている人」はこんなタイプです。
- 老後資金を確実に貯めたい人: 60歳まで引き出せない「強制力」が、着実な資産形成につながります。
- 所得税・住民税をしっかり払っている現役世代: 所得控除のメリットは、税金を納めているからこそ受けられる恩恵です。節税効果を重視するならiDeCoは外せません。
- 会社の退職金がない、または少ない人: iDeCoを「自分で作る退職金」と位置づけ、退職所得控除を最大限に活用できます。
私自身は、「iDeCoを老後資金の土台、NISAをそれ以外のライフイベントに備えるための中期的な資金」と使い分けています。まずはiDeCoで節税メリットを取りながら堅実に積み立て、余裕資金をNISAに回す、という考え方です。
改正に向けた今後の計画
では、2027年の改正に向けて、何を準備しておけばいいのでしょうか。
加入者が知っておくべきポイント
- 自分の加入資格と上限額の確認: まずは自分がどの区分(会社員、自営業など)で、現在の上限額はいくらなのかを再確認しましょう。
- 会社の企業年金制度の確認: 会社に企業型DCやDBがあるか、就業規則や給与明細などでチェック。これが改正後の上限額に関わってきます。
- 最新情報のキャッチアップ: 2027年1月の納付分から施行予定となっていますが、今のところの予定です。今後、変更される可能性もあるため、厚生労働省の発表を時々チェックする習慣をつけておくと安心です。
2027年に向けた資金計画
改正はまだ少し先ですが、今からできることもあります。
- 家計の見直し: もし将来、掛金を増やしたいなら、その原資が必要です。今のうちから家計簿アプリなどを使って収支を把握し、どこから捻出できそうか考えてみることが必要です。
- 積立目標の設定: 「●歳までにいくら貯めたいか」というゴールから逆算して、毎月いくら積み立てる必要があるかシミュレーションしてみるのもおすすめです。金融機関のウェブサイトにあるシミュレーションツールが便利です。
iDeCoを活用した資産運用提案
iDeCoはただお金を入れるだけの箱ではありません。どの金融商品で運用するかを自分で選ぶ必要があります。
- まずは低コストのインデックスファンドから: 初心者の方は、日経平均株価や全世界の株式(オール・カントリー)などに連動する、手数料の安いインデックスファンドから始めるのが王道です。
- リスク許容度に合わせて配分を考える: 若いうちはリスクを取って株式の比率を高めに、年齢が上がるにつれて安定的な債券の比率を増やすなど、自分の年齢や考え方に合わせて資産配分(ポートフォリオ)を調整していくことが大切です。
今回のiDeCo改正は、私たち一人ひとりが自分の将来と向き合い、資産形成を考える絶好の機会だと思います。特に退職金制度がない会社で働く私たちにとっては、国が用意してくれたこの有利な制度を使わない手はありません。
もちろん、未来のことは誰にもわかりません。でも、今から少しずつでも準備をしておくことで、将来の不安を「安心」に変えていけたら嬉しいですね。
