和食の基本マナー講座|会食で失敗しないための食べ方

「このお椀の蓋、どこに置くのが正解…?」

「焼き魚、どうやって食べたら綺麗に見えるんだろう…」

大切な人との食事や、仕事の会食。せっかくの美味しい和食なのに、食事のマナーが気になって味がしない…。そんな経験、ありませんか?

この記事では、そんな方向けに恥ずかしくない和食の基本マナーを紹介します。お店に入ってから席を立つまで、一連の流れに沿って和食の基本マナーを徹底解説。お箸の持ち方からお椀の扱い方、迷いがちな料理の食べ方まで、これさえ読めば自信が持てるポイントを分かりやすくまとめました!

さくら

この記事は次のような方におすすめです。
・会食が多い方
・食事の場で恥ずかしい思いをしたくない方
・和食のマナーの基本を知りたい方
・マナー講座に行こうか考えている方

もう会食でドキドキするのはおしまいです。正しいマナーを身につけて、食事をもっと心から楽しみましょう!

目次

はじめに

食事のマナーで冷や汗をかいた経験

何を隠そう、私も昔は和食のマナーに全く自信がありませんでした。

忘れもしないのは、取引先との会食での出来事です。立派な料亭で出てきたのは、尾頭付きの立派な焼き魚。周りの先輩方は慣れた手つきで綺麗に食べていくのに、私はどこから手をつけていいか分からず、周りの人の食べるのをキョロキョロみながら…

(身をひっくり返すのはマナー違反って聞いたことあるけど、じゃあ裏側はどうやって食べるの…?)

頭の中はパニック。結局、魚の身はうまく取れず、お皿の上が悲惨なことに…。恥ずかしくて早く料理を下げてくれないかなと、せっかくの高級料理の味は全くしませんでした。

この経験から、「もう二度とこんな思いはしたくない!」と和食のマナーについて調べました。すると、マナーは決して堅苦しいルールではなく、「食事をする相手に不快な思いをさせず、料理を作ってくれた人への感謝を示すための作法」だと気づいたのです。

きっと同じような不安や悩みを抱えているはず。でも、基本さえ押さえれば、私のように食事を楽しめるようになります。

なぜ、和食のマナーが大切なの?データで見る「気になる他人の食事マナー」

「マナーなんて、自分が気にしなければいいのでは?」と思うかもしれません。しかし、周りの人は意外とあなたの食べ方を見ています。

実際に、ある調査機関が実施したアンケートによると、「他人の食事マナーが気になったことがある」と答えた人は、なんと84.6%にも上るという結果が出ています。(※出典:アイブリッジ株式会社「食事のマナーに関する調査」)

特に気になるマナー違反としては、

  • 音を立てて食べる(くちゃくちゃ、ズルズルなど)
  • お箸の持ち方・使い方
  • 肘をついて食べる

などが上位に挙げられています。ビジネスシーンでは、食事のマナーがその人の評価に繋がることも少なくありません。また、プライベートでも、素敵な相手とのデートでマナー違反をしてしまい、がっかりさせてしまうのは避けたいですよね。

和食のマナーは、あなた自身の品格を表し、相手への敬意を示すコミュニケーションツールでもあるのです。

特にお箸の持ち方は、意外とみている人が多いです。私もおかしかったため、若い頃に矯正箸で直しました。今では、食べ方が綺麗と褒められることもあり、本当に直してよかったと思っています。

【食事前の準備編】お店に入ってから席に着くまでの基本マナー

お店に入った瞬間から、マナーは始まっています。スマートな振る舞いで、幸先の良いスタートを切りましょう。

意外と見られている「おしぼり」の使い方、正しいマナーは?

席について最初に出される「おしぼり」。よく顔を拭くおじさんがいますが、あれは立派なマナー違反です。

おしぼりは、食事の前に手を清めるためのもの。正しい使い方の手順は以下の通りです。

  1. 利き手でおしぼりを取る
  2. 反対の手に持ち替え、利き手から丁寧に拭く
  3. 拭き終わったら、拭いた面を内側にたたんで元の位置か、おしぼり受けに戻す

テーブルや口元を拭くのはNGです。口元を拭きたい場合は、備え付けのナプキンや持参した懐紙(かいし)を使いましょう。

バッグや上着はどこに置くのが正解?

上着や大きな荷物は、お店に入る際にクロークがあれば預けるのが最もスマートです。

クロークがない場合は、以下の場所を参考にしましょう。

  • 上着: 軽くたたんで、椅子の背もたれにかけるか、自分の背中と背もたれの間に置きます。
  • バッグ: 小さなものであれば、自分の背中と背もたれの間に。少し大きめの場合は、自分の足元(隣の人の邪魔にならない側)に置きます。

テーブルの上にバッグを置くのは、衛生的な観点からもマナー違反ですので気をつけましょう。

【最重要】これだけは押さえたい!お箸の正しい持ち方とNGマナー

和食マナーの要(かなめ)とも言えるのが「お箸」の使い方です。持ち方が美しいだけで、全体の所作がぐっと洗練されて見えます。

あなたの持ち方は大丈夫?美しいお箸の持ち方を再確認

正しいお箸の持ち方は、一度覚えてしまえば一生モノのスキルです。鉛筆の持ち方を応用すると、意外と簡単にマスターできますよ。

  1. 上の箸を持つ: 鉛筆を持つように、親指・人差し指・中指の3本で軽く持ちます。
  2. 下の箸を添える: 薬指の爪の脇と、親指と人差し指の付け根部分で挟むようにして固定します。
  3. 動かすのは上の箸だけ: 下の箸は動かさず、上の箸だけを人差し指と中指で操作するのがポイントです。

最初はぎこちなくても、普段の食事から意識するだけで必ず上達します。諦めずに練習してみてください。もしおかしい方は矯正箸で直しましょう。


やってはいけない10の「嫌い箸(きらいばし)」

無意識にやってしまいがちな、お箸のNGマナーを「嫌い箸」と呼びます。代表的なマナー違反を知っておくだけで、うっかり恥ずかしい思いをするのを防げます。

嫌い箸の種類説明
① 刺し箸料理にお箸を突き刺して食べること。特に芋類など滑りやすいものでやりがち。
② 迷い箸どの料理を食べようか、お箸を持ったままお皿の上をうろうろさせること。
③ 寄せ箸遠くにある器をお箸で手元に引き寄せること。
④ 涙箸箸先から汁物をポタポタ垂らしながら口に運ぶこと。
⑤ ねぶり箸お箸についたものをなめ取ること。
⑥ 渡し箸食事の途中、お箸を器の上に橋のように置くこと。「もういりません」の合図になるためNG。
⑦ 探り箸汁物の中などをかき混ぜて、好きな具材を探すこと。
⑧ かきこみ箸器に口をつけ、お箸で食べ物をかきこむこと。
⑨ 指し箸お箸で人や物を指し示すこと。
⑩ もぎ箸お箸についたご飯粒などを口でもぎ取ること。

迷い箸・刺し箸は知ってるけど…「寄せ箸」や「涙箸」って何?

「刺し箸」や「迷い箸」は聞いたことがある人も多いかもしれません。しかし、意外とやってしまいがちなのが「寄せ箸」「涙箸」です。

  • 寄せ箸:「ちょっと遠いな」と思った小皿を、ついお箸で手前に「クイッ」と寄せてしまう行為です。面倒くさがらず、必ず両手で器を持って動かしましょう。
  • 涙箸: 煮物やおひたしなどを取ったとき、箸先から汁が垂れてしまうことです。これを防ぐには、手で器を持って口元まで運ぶ(手皿)のが効果的です。ただし、この手皿は正式なマナーではないという意見もあるため、小皿を直接持って食べるのが最も美しい所作です。

【汁物・お椀編】スマートに見えるお椀の持ち方と飲み方のコツ

お味噌汁やお吸い物など、お椀に入った汁物は和食の基本。ここでの所作が美しいと、一気に「マナーを知っている人」という印象を与えられます。

お椀は「手で包む」が正解!蓋の美しい開け方と置き方

蓋付きのお椀が出てきたとき、焦らずスマートに対応できる手順を覚えましょう。

  1. 左手をお椀に添える: まず、お椀が動かないように左手を軽く添えます。
  2. 右手で蓋のつまみを持ち、ひらがなの「の」を書くように開ける: 親指、人差し指、中指の3本でつまみを持ち、静かに蓋を開け、一旦蓋の水滴をお椀の中に落としてからあげます。
  3. 蓋の内側を上にして、お椀の右奥に置く: 開けた蓋は、裏返してお膳の右側に置くのが基本です。テーブルを濡らさないための配慮です。

汁物はどこから飲む?音を立ててもいいの?ひと口目のマナー

お椀の持ち方は、左手のひらに乗せ、親指を縁に軽く添えるのが基本です。指を揃えて持つと、とても美しく見えます。

  • ひと口目のマナー: まずは具材を食べず、お箸で具を軽く押さえながら汁をひと口いただきます。これは、料理の香りや出汁の味を最初に楽しむという、作り手への敬意を表す作法です。
  • 音を立てる: 麺類とは違い、汁物を飲むときに「ズズズー」と大きな音を立てるのはマナー違反です。ただし、香りを楽しむために、静かに「スッ」と吸う程度の音は許容範囲とされています。
  • 食べ終わったら: 飲み終わったら、蓋を元通りに閉めます。「ごちそうさまでした」という感謝のサインになります。

【食べ方編】料理ごとにも作法あり!迷いがちな和食メニューの食べ方

焼き魚や茶碗蒸しなど、いざ目の前にすると「どうやって食べるのが正解?」と迷ってしまう料理の食べ方解説します。

焼き魚、きれいに食べられる?骨の外し方と食べる順番

焼き魚をきれいに食べられると、周囲からの評価もぐっと上がります。ポイントは「ひっくり返さない」ことです。

  1. 上身から食べる: まず、頭から尾に向かって、背中側の身(上身)を食べ進めます。
  2. 中骨を外す: 上身を食べ終えたら、お箸を頭の後ろから中骨に沿って入れ、骨と下身を切り離します。
  3. 骨を器の奥に置く: 外した中骨を、お皿の奥(または上側)にまとめて置きます。
  4. 下身を食べる: 最後に、残った下身を食べ進めます。

小骨は、お皿の隅にまとめておくと、食べ終わった後もきれいに見えます。

茶碗蒸しはスプーンで?お箸で?正しい食べ方と注意点

茶碗蒸しは基本的にお箸で食べますが、お店によっては専用の小さなスプーンが用意されている場合もありますので、スプーンで食べてもOKです。この時、蓋はお椀と同じで水滴に気をつけましょう。

  1. 端から少しずつ崩す: いきなり中央からかき混ぜるのはNG。器の縁に沿って、お箸で静かにすくいながら食べます。
  2. 汁を飲むとき: 茶碗蒸し汁物を飲む際は、器に直接口をつけてOKです。
  3. 熱さに注意: 出来立ては非常に熱いので、フーフーと息を吹きかけるのではなく、お箸で少しずつ崩して冷ましながらいただきましょう。

茶碗蒸しを食べ終わった後は、蓋をし、スプーンは受け皿に置きましょう。

次の料理を待つ間、お箸はどうする?

食事の途中で会話が弾んだり、次の料理を待ったりする間、お箸の置き場所に困ったことはありませんか?

正解は、「箸置きに置く」です。器の上にお箸を置く「渡し箸」はマナー違反なので気をつけましょう。もし箸置きがない場合は、お盆の縁や、お醤油皿などの小皿の縁に箸先をかけるようにして置きます。

お箸袋などで簡単にお箸置きを作るのもよいです。

まとめ:自信がつけば、食事はもっと楽しくなる!

和食のマナーは、一見すると堅苦しく、覚えるのが大変だと感じるかもしれません。しかし、一つひとつの作法には、料理や人への感謝、そして食事を美味しくいただくための知恵が詰まっています。

まずは「感謝の心」から。今日から実践できること

完璧なマナーをいきなり身につけるのは難しいものです。まずは、「いただきます」「ごちそうさまでした」という感謝の言葉を心から言い、楽しんで食べることが一番大切だと思っています。美味しそうに食べているのは誰がみても気持ちがよいですよね。

もっと食事を楽しむためのおすすめステップ

この記事で基本を学んだら、次は実践あるのみです。

  1. 普段の食事で意識する: 自宅での普段の食事から、お箸の持ち方やお椀の扱いを意識してみましょう。
  2. 友人とのランチで試す: 少しカジュアルな和食店で、難しそうな焼き魚にチャレンジしてみるのも良い練習になります。
  3. マナー教室に参加する: 本格的に学びたい場合は、和食マナーの講座に参加するのもおすすめです。専門家から直接指導を受けることで、より深い知識と自信が得られます。

所作が美しいとそれだけで、この人ちゃんとした方だなと思われると思います。また食事も自信を持って楽しめると思いますので、食事の時間をより豊かで楽しいものにする、きっかけになれば幸いです。

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