日銀の利上げで株やNISAはどうなる?初心者向けに分かりやすく解説
先日のニュースで「長期金利が上昇」という発表がされていました。実は私はFPの資格も持っていますが、いまだにこの長期金利の上昇と株価や円の関係性を説明するのが、正直苦手です。
一般的に金利が上昇すると株価が下がるとか言われますが、ではNISAで運用している資産は減っちゃうの?やらない方がいいんじゃな?などと不安に感じている方もいるかもしれません。
私も頭の中を整理するために、現在の経済状況と今後の見通しについて、しっかりと考えてみることにしました。
- そもそも長期金利って何?
- 日銀の利上げとは?
- 私たちの株やNISAにどんな影響がある?
- 今後、私たちはどう向き合っていけばいい?
こんな疑問を解消し、漠然とした不安を取り除いて、これからの資産運用をしていきたいと考えておりますので、興味がある方はぜひご覧ください。
そもそも長期金利って何?
「長期金利の指標となる10年物国債の利回りが、約11年ぶりの高水準に!」こう言われて、頭がはてなになる方も多いのではないでしょうか?
長期金利とは取引をする期間が1年以上の金利のことです。具体的には1年以上の定期預金金利や国債の利回りのことを指します。
この長期金利は、例えば、住宅ローンの金利や、企業の借入、不動産価格、そして私たちが投資している企業の株価などにも影響を与えます。
今回、長期金利が上がったことの背景として、物価上昇の加速により、日銀が金融正常化として政策金利を引き上げるとの観測が強まった結果として、国債が売られ、長期金利が上昇したと言えます。
つまり、物価上昇が続く → 政策金利引き上げ観測が強まる → 将来の金利が上がるなら、今の低利回りの国債は魅力がないため国債が売り出される →国債価格が下落し、利回り(長期金利)が 上昇するという流れになっているということです。
日銀の「利上げ」ってどういうこと?
では、「利上げ」とは何でしょうか?
一言でいうと、「日銀が、世の中に出回るお金の金利を引き上げること」です。
ちょっと分かりにくいので、蛇口に例えてみると。
- 金融緩和(利下げ):景気を良くしたい時に、蛇口をたくさんひねって、世の中にお金をジャブジャブ流すイメージ。金利が低いので、企業も個人もお金を借りやすくなり、設備投資や消費が活発になります。
- 金融引き締め(利上げ):景気の過熱や、行き過ぎた物価上昇を抑えたい時に、蛇口を少し締めて、お金の流れを緩やかにするイメージ。金利が上がるので、お金を借りにくくなり、経済活動が少し落ち着きます。
これまでは、金融緩和されており、安い金利で企業や個人がお金を借りやすくなっていました。しかし、物価上昇に伴い、これ以上の緩和は続けられないだろうとの空気感になり、日銀利上げするのでは?と市場が予測し始めたということです。
日銀が利上げをすると考えられている理由
でも、景気が良くなった実感なんてないのに、なんで利上げするのかなと思う方も多いはず。日銀がこのタイミングで金融政策の変更に踏み切ると予想されている理由がいくつか考えられます。
理由1:給料は上がった?「物価上昇」との追いかけっこ
ここ数年、スーパーに行くと「え、卵ってこんなに高かったっけ?」「ガソリン代、また上がってる…」と感じることが増えませんでしたか?
これまでは、物価は上がっても給料が上がらない「悪い物価上昇」が問題でした。しかし、2024年の春闘では、連合の集計で平均5%を超える高い賃上げ率が実現。この「賃金と物価がそろって上がる良い循環」が生まれる兆しが見えてきたことが、利上げという政策決定を後押しした大きな理由の一つだと考えられます。
理由2:ようやく日本も「金利のある世界」へ?
原材料高など物価が上昇していることに対し、物価が上がるなら金利も上がるという正常な反応が起きていることも理由の一つだと言えます。
理由3:円安はどこまで進む?海外旅行で感じた「円の価値」
数十年前、私が海外旅行に行ったときは、今では考えられないほどの円高で、ショッピングをお得に楽しめた記憶があります。しかし、今は1ドル=150円台という歴史的な円安が続いていますよね。
円安は、輸出で稼ぐ企業にとっては追い風ですが、私たちにとっては輸入品の価格が上がり、海外旅行の費用もかさむなど、物価高の大きな原因になります。この円安の背景には、アメリカなどがどんどん利上げをする一方で、日本だけがゼロ金利を続けていた「金利差」がありました。
今回の利上げは、この金利差を少しでも縮小し、行き過ぎた円安に歯止めをかける狙いもあると考えられます。
今後のこと。私たちの株やNISAはどうなるの?
さて、ここからが本題です。私たちがNISAなどで運用している資産には今後、どんな影響があるのでしょうか。
私のポートフォリオは大丈夫?株価への影響を考えてみた
一般的に、「利上げは株価にマイナス」と言われます。なぜなら、
- 企業のコスト増:企業が銀行からお金を借りる際の金利が上がり、設備投資などのコストが増えて利益が減る可能性がある。
- 個人の消費が冷え込む:住宅ローンや自動車ローンの金利が上がると、家計の負担が増え、買い物を控えるようになるかもしれない。
- 株の魅力が相対的に低下:金利が上がると、リスクのある株よりも、元本が保証されている預金や安全な国債の魅力が高まり、株からお金が流出する可能性がある。
といった理由からです。私もこの話を聞いたときは、「NISAの評価額、下がっちゃうのかな…」と少し不安になりました。
株価は下がる?それとも上がる?シナリオを予測
では、実際に株価は下がるのでしょうか?確かに値動きはあると思います。特に短期は逆風、長期は銘柄による所が大きいと思います。
株は将来の利益を、金利で割り引いて今の価格を決めるものなので、金利が上がる→割引率が上がる→株の理論価値は下がるはずです。
ただ、私のようにNISAを長期投資で行う人には絶妙のチャンスが到来する時期だと多います。
なぜなら、株価が下がる or 横ばいになりやすい→同じ金額で「たくさん株を買える」→将来のリターンがむしろ良くなるからです。また、長期的に見れば、株価はインフレ率よりも成長する可能性を秘めていると思います。
NISAやiDeCoをやってる私たちが、今すぐやるべきこと
では、この状況で私たちはどうすればいいのでしょうか?私の答えはシンプルです。
「今まで通り、慌てず、騒がず、コツコツ積立を続けること」
これに尽きると思います。
NISAやiDeCoは、そもそも10年、20年という長期的な視点で資産を育てるための制度です。日々の株価の変動に一喜一憂して、積立をやめたり、売却してしまったりするのが一番もったいないと思います。むしろ、もし株価が一時的に下がる局面があれば、それは「いつもより安く、たくさんの口数を買えるチャンス」と捉えることもできます。
私も、今回の利上げのニュースを聞いてポートフォリオを見直しましたが、基本的な投資方針は変えていません。世界経済全体に分散投資するインデックスファンドを中心に、これからも変わらず積立を続けていくつもりです。
利上げは悪いことばかりじゃない!私たちの生活へのメリットも
利上げと聞くと、どうしても株価への影響などネガティブな面が気になりますが、実は私たちにとって嬉しいメリットもあるんです。
銀行預金の金利がアップ?眠っているお金が少しだけ元気に
長年、普通預金の金利は年0.001%といった、ほぼゼロの状態が続いていました。100万円預けても、1年でもらえる利息はたったの10円(税引前)…。これでは、お金を寝かせているだけでしたよね。
しかし、利上げをするとなると、微々たるものだとは思いますが、眠っていたお金が少しでも利息を生んでくれるようになるのではないでしょうか。
行き過ぎた物価高にブレーキがかかる可能性
円安や景気の過熱による物価上昇が続くと、私たちの生活はどんどん苦しくなってしまいます。利上げには、こうした行き過ぎた物価高や円安を抑制する効果が期待できます。
物価の安定は、私たちの生活の土台です。利上げによって経済が少しクールダウンし、物価上昇が緩やかになるのであれば、それは長期的に見てプラスに働くはずです。
変化を恐れず、お金や経済、政治に興味を持って、学びながら資産を育ていく
今回は、日銀の利上げが私たちの株やNISAに与える影響について、私なりの考えをまとめてみました。
要点を振り返ると、
- 利上げは、景気の過熱や物価高を抑えるための金融政策。
- 「賃金と物価の好循環」が見えてきたことが、利上げの背景にある。
- 短期的には株価が不安定になる可能性もあるが、長期的な積立投資の方針を変える必要はない。
- むしろ、株価の下落は「安く買えるチャンス」と捉えよう。
- 預金金利の上昇など、私たちにとって嬉しいメリットもある。
金融政策の転換は、大きな変化であり、不安に感じることもあります。政治的なことなども影響してきます。でも、それは日本経済が新しいステージに進むためのステップでもあります。
大切なのは、変化に一喜一憂せず、お金や経済や政治に興味を持ち、お金に関して自分なりの考えを持って行動することだと思います。これからも一緒に、コツコツと学びながら、大切な資産を育てていきたいものですね。
