日本人が貯金好きなのはなぜ?投資をしない人が多い理由

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「将来のために、ちゃんとお金を貯めなさい」

子どもの頃、親からこう言われた経験はありませんか?私の周りにも、お金を貯めるのがとても上手な友人がいます。毎月コツコツと決まった額を銀行口座に入れ、着実に残高を増やしていく。その堅実さは、本当にすごいなと尊敬します。

でも、そのお金、ただ銀行に預けているだけでいいのかな?とずっと心の中で思っていました。

実は私自身、30代になるまで「資産形成=貯金」だと信じて疑いませんでした。投資なんて、お金持ちがやる特別なことだと思っていたのです。しかし、今ではその考えは180度変わりました。

この記事では、なぜ多くの日本人が投資よりも貯蓄を選んでしまうのか、その理由を探っていきます。そして、かつての私のように「投資は怖い」「何から始めたらいいかわからない」と感じている方が、将来の不安を解消する一歩を踏み出すためのヒントをお伝えできればと思っています。

目次

「すごいね!」と言うだけで行動しない友人、昔の私を見ているようでした

私が投資を始めてから、友人との会話でお金の話になることが増えました。「つみたてNISAって、実はこんな仕組みで…」なんて話をすると、決まって「へぇ、すごいね!」「詳しいんだね!」と感心してくれます。

でも、話はそこで終わり。「じゃあ、自分もやってみようかな」とは、なかなかならないんです。その姿は、まるで数年前の私を見ているようでした。

当時の私も、老後のことや家計の状況に漠然とした不安を抱えながら、結局何も行動を起こせずにいました。「やらなきゃ」という気持ちはあるのに、日々の忙しさを言い訳にして後回し。そうやって、将来を変えるかもしれない大切な時間を無駄にしていたのかもしれません。すぐやらないことはチャンスを逃すことにつながる、と今なら思いますが、当時はそのことにすら気づいていなかったのです。

30代で知った衝撃の事実。銀行員の友人と私、資産額の差に愕然

そんな私の目が覚めるきっかけをくれたのは、銀行員として働く友人でした。30代に差し掛かったある日、何気ない会話からお互いの金融資産の話になったのです。

彼は、社会人になってすぐ、20代の頃から給料の一部で投資信託をコツコツ買い続けていたと言います。一方、私はというと、ただ普通預金口座にお金を貯めているだけ。

その結果、私たちの資産額には、正直言って愕然とするほどの差が生まれていました。同じように働いて、同じくらいの年月が経っているのに、なぜ?

友人が教えてくれたのが「複利」の力でした。利息が利息を生んで、雪だるま式にお金が増えていくんだよしかも米国株式は年利も日本の銀行とは比べものにならないしと。時間をかければかけるほど、その効果は絶大になる。私はその時、お金の世界にも「時間」という魔法があることを初めて知ったのです。この衝撃的な事実が、私を「貯金だけじゃダメだ」と強く思うきっかけになりました。

日本人の貯金好きとその理由

私の周りだけでなく、なぜ日本人全体が貯金好きなのか、その理由について書いていきます。

かつては正解だった「貯金」。でも時代は変わった?

では、なぜ日本人はこれほどまでに貯金を信頼しているのでしょうか。それには、歴史的な背景が大きく影響しています。

高度経済成長期の「貯金神話」とその影響

かつて日本が高度経済成長期にあった1970年代~80年代、銀行の金利は非常に高く、郵便局の定額貯金の金利が年7~8%にもなる時代がありました。当時は、ただ銀行にお金を預けておくだけで、10年後には資産が倍になることも夢ではなかったのです。

この時代の成功体験が、「貯金は安全で、確実にお金が増えるもの」という「貯金神話」を生み出しました。私たちの親世代が「貯金しなさい」と言うのは、この時代の常識が根付いているからかもしれません。

ゼロ金利とインフレで、貯金の価値は少しずつ目減りしている

しかし、時代は大きく変わりました。ご存知の通り、現在の日本は超低金利時代。大手銀行の普通預金金利は年0.001%程度と、100万円を1年間預けても10円の利息しかつきません(税引前)。

さらに、最近は物価が上昇する「インフレ」が進んでいます。例えば、去年100円で買えたお菓子が、今年は105円に値上がりしたとします。これは、モノの価値が上がった一方で、お金の価値が下がったことを意味します。

銀行に預けている100円は100円のまま増えないのに、モノの値段だけが上がっていく。つまり、貯金しているだけでは、実質的にお金の価値は少しずつ目減りしているのです。かつての「正解」は、もはや現代の「正解」ではなくなってきているのかもしれません。

なぜ私たちは、投資への一歩を踏み出せないのか?考えられる3つの理由

時代の変化に気づいていても、なかなか投資に踏み出せない。その背景には、日本人特有の心理的なハードルがあるように思います。

理由1:学校で習わなかった「お金の増やし方」

あなたは学生時代、お金の「稼ぎ方(労働)」や「使い方(消費)」は教わったかもしれませんが、「増やし方(投資)」について詳しく学んだ記憶はありますか?おそらく、ほとんどの人が「ない」と答えるでしょう。

理由2:「元本割れ=絶対悪」という根強いイメージ

「投資は元本割れするリスクがある」という言葉をよく聞きます。元本割れとは、投資した金額よりも資産の価値が下がってしまうことです。この「損をする可能性」を、私たちは極端に恐れる傾向があります。

理由3:将来への漠然とした不安が、逆に「現金」を手放せなくさせる

老後2,000万円問題や年金への不安など、私たちの将来には心配事が尽きません。この漠然とした不安が、皮肉なことに、私たちをより一層「現金主義」にさせている側面もあります。

いざという時にすぐ使える現金が手元にないと不安だから、投資にお金をまわすなんてとんでもない。そう考えて、せっかく貯めたお金を銀行口座に眠らせてしまうのです。将来のために備えたいという気持ちが、かえって資産を増やすチャンスを逃す原因になっているとしたら、とても残念なことですよね。

私が実践した「貯金オンリー」から抜け出すための2ステップ

「理屈はわかった。でも、やっぱり怖い…」

そんな気持ち、痛いほどわかります。私もそうでしたから。ここでは、貯金しかしてこなかった私が、実際にどうやって投資への一歩を踏み出したのか、その具体的なステップを紹介します。

ステップ1:まずは「貯金ができる家計」を作るところから

いきなり投資を始める前に、まずやるべきことがあります。それは、毎月きちんとお金を貯められる家計の土台を作ることです。貯める習慣がないまま投資を始めても、結局続かなかったり、生活が苦しくなったりしてしまいます。

固定費を見直し、毎月決まった額を貯める習慣づくり

私が最初に取り組んだのは、家計の見直しでした。特に効果が大きかったのが、スマホの通信プランや保険、サブスクリプションサービスなどの「固定費」の削減です。一度見直せば効果がずっと続くので、おすすめです。

そうして浮いたお金を、「先取り貯金」で別の口座に移してしまう。給料が入ったら、使う前にまず貯金する額を確保するのです。これを繰り返すことで、「これだけなら毎月貯められる」という自信がつき、家計に余裕が生まれていきました。

ステップ2:「貯金」と「投資」の役割分担を決める

家計に余裕ができたら、次はお金の役割分担を決めます。すべてを投資にまわす必要はありません。「貯金」と「投資」、それぞれに役割を持たせるのです。

生活防衛資金は貯金で確保、余裕資金を投資にまわす

  • 貯金(生活防衛資金):病気やケガ、失業など、万が一の事態に備えるためのお金。生活費の半年分くらいが目安です。このお金は、すぐに引き出せるように銀行の普通預金などに置いておきます。
  • 投資(余裕資金):生活防衛資金を除いた、当面使う予定のないお金。このお金を使って、将来のために資産を育てていきます。

このようにお金を色分けすることで、「もし投資で損をしても、すぐに生活が困るわけじゃない」という安心感が生まれます。この安心感が、投資への心理的なハードルをぐっと下げてくれました。

将来のために、今からできること

準備が整ったら、いよいよ投資の世界へ。でも、何から始めればいいのでしょうか。最初から大きな金額を投じる必要はありません。国が用意してくれている、初心者向けのとてもお得な制度があります。

つみたてNISAやiDeCoは怪しいものじゃない

「NISA」や「iDeCo」という言葉を聞いたことがありますか?これらは、国が「貯蓄から投資へ」の流れを後押しするために作った、税金が優遇されるお得な制度です。決して怪しいものではありません。

  • NISA(ニーサ):NISA口座内で得た利益(配当金、分配金、譲渡益)が非課税になる制度。2024年から新NISAが始まり、非課税で投資できる金額が大幅にアップしました。月々1,000円といった少額から始められる金融機関も多く、初心者でも始めやすいのが特徴です。
  • iDeCo(イデコ):個人型確定拠出年金のこと。自分で掛金を出して運用し、60歳以降に受け取る私的年金制度です。掛金が全額所得控除になるなど、税制上のメリットが非常に大きいですが、原則60歳まで引き出せない点には注意が必要です。

まずはこうした制度について、本やネットで少し調べてみるだけでも、「わからないから怖い」という気持ちが和らいでいくはずです。

「気づいた時が始め時」は本当。複利の効果は時間を味方につける

私が銀行員の友人と自分との資産差に愕然とした時、一番悔しかったこと。それは、もっと早く始めていれば…という後悔でした。

私がもっと早く始めたかったと思う、たった一つの理由

投資の世界では、「時間」が何よりの武器になります。先ほど紹介した「複利」の効果は、運用期間が長ければ長いほど大きくなるからです。

例えば、毎月3万円を年利5%で積み立て投資した場合、

  • 20年間続けると…約1,233万円(うち利益は約513万円)
  • 30年間続けると…約2,487万円(うち利益は約1,407万円)

10年長く続けるだけで、利益は倍以上に膨らみます。

(※上記は金融庁の資産運用シミュレーションによる計算例であり、将来の運用成果を保証するものではありません。)

だからこそ、「気づいた時が始め時」という言葉は、本当にその通りなのです。今日が、あなたのこれからの人生で一番若い日。始めるのに遅すぎるということはありません。

まとめ:貯金は大切。でも、それだけで将来は大丈夫?

日本人が貯金を好むのには、歴史的な背景や、損をしたくないという国民性があります。もちろん、万が一に備える貯金は非常に大切ですし、資産形成の基本です。

しかし、超低金利とインフレが進む現代において、貯金だけで資産を守り、増やしていくのは非常に難しくなっています。銀行に預けているだけでは、あなたのお金の価値は、知らず知らずのうちに目減りしているかもしれないのです。

かつての私のように、将来に漠然とした不安を抱えながらも、一歩を踏み出せずにいる人は多いと思います。でも、銀行員の友人との出会いをきっかけに、私は「複利」と「時間」の力を知りました。そして、家計を見直し、少額から投資を始めることで、少しずつですが着実に未来への安心を育てています。

この記事を読んで、「ちょっと調べてみようかな」と少しでも思ってくれたなら、それが大きな一歩です。気づいて、すぐに行動するかどうか。その小さな違いが、10年後、20年後のあなたの未来を大きく変えるかもしれません。

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