「今度の記念日、素敵なフレンチレストランを予約したからね」
そんな嬉しいお誘いの一方で、「テーブルマナー、大丈夫かな…」と、ふと不安がよぎることはありませんか?
こんにちは。何を隠そう、私も昔はフレンチやイタリアンのお店に行くと、ずらりと並んだナイフやフォークを前にカチコチに緊張してしまうタイプでした。「どのフォークから使うの?」「スープの飲み方、これで合ってる?」なんて、頭の中はマナーのことでいっぱい。せっかくの美味しい料理の味が、半分くらいしか分からなかったかもしれません(笑)。
特に40代になると、友人との会食や大切な人との食事、仕事関係の集まりなど、きちんとしたレストランを選ぶ機会も増えてきますよね。そんな時はやはり周りを気にせず、心から食事を楽見たいものです。

この記事は次のような方におすすめです。
・テーブルマナーに自信がないと感じている方
・マナーのことを気にせず食事を楽しみたい方
・綺麗な食べ方をして食事を楽しみたい方
難しいルールを丸暗記する必要はありません。大切なのは、ちょっとしたコツと食事を楽しむ気持ち。お店や周りの人へのちょっとした配慮ができるだけで、食事が楽しくなること間違いなしです。
レストランへ行く前に|意外と見られている服装と持ち物
お店のドアを開ける前から、マナーは始まっています。せっかくの素敵な食事、服装や持ち物で気後れしないようにしましょう。
カジュアル?フォーマル?お店の格に合わせた服装の選び方
「何を着ていけばいい?」これは多くの人が悩むポイントですよね。一番大切なのは、お店の「格」に合わせることです。
レストランのウェブサイトには「ドレスコード」についての記載があることも。もし「スマートカジュアル」とあれば、デニムやTシャツは避けて、きれいめのワンピースや、上品なブラウスにスカートやパンツを合わせるのがおすすめです。
特に記載がない場合でも、人気のお店のウェブサイトやSNSで店内の写真を見て雰囲気を掴んでおくと安心です。高級レストランであれば、少しドレッシーな服装を心がけると、その場の雰囲気に自然と溶け込めますよ。
お店の雰囲気 | 服装の目安 |
高級レストラン | ワンピース、ドレッシーなセットアップ、アクセサリーで華やかさをプラス |
ホテル内のレストラン | きれいめのワンピース、ブラウス+スカート/パンツ |
カジュアルなビストロ | 上品なニット、きれいめのパンツスタイルなど、少しお洒落を意識した普段着 |
迷ったときは、少しだけ「きれいめ」を意識するのが失敗しないコツです。
小さめバッグがスマート!大きな荷物はクロークへ
お料理が並ぶテーブルの上に、大きなバッグを置くのはスペースを取ってしまい、あまり美しくありません。食事の際は、小さめのハンドバッグやクラッチバッグを用意するのがスマートです。
では、仕事帰りの大きなバッグや、冬のコートはどうすれば良いのでしょうか?
答えは簡単。お店の入り口にある「クローク」に預けましょう。スタッフの方が快く預かってくれますし、席周りがすっきりして、ゆったりと食事を楽しむことができます。


【実践編】食事の流れで覚えるテーブルマナーの基本
さあ、いよいよ席に着いてからの実践編です。コース料理の流れに沿って、一つひとつのステップを追いながらマナーを確認していきましょう。
STEP1:席に着いたらまず「ナプキン」!正しい使い方とタイミング
テーブルに着くと、美しく折られたナプキンが置いてあります。これをスマートに使えると、ぐっと洗練された印象になりますよ。
膝に置くのはいつ?ベストなタイミング
ナプキンを手に取るタイミングは、食前酒や飲み物が運ばれてきて、乾杯が終わった後が一般的です。注文を終えて、一息ついたタイミングでも大丈夫です。
ナプキンを広げ、二つ折りにして「輪(折り目)」を手前側にして膝の上に置きます。こうすると、ナプキンの内側で口元を拭くことができ、汚れが外から見えにくくなります。
食事中に席を立つときは「椅子の上」が正解
お化粧室などで食事の途中に席を立つこともあると思います。その際、使いかけのナプキンをテーブルの上に置くのはNG。これは「食事が終わりました」という合図になってしまいます。
正解は、軽くたたんで「椅子の座面の上」に置くこと。これが「まだ食事の途中です」というサインになります。背もたれに掛けるのも避けましょう。
食後のナプキンは「きれいに畳まない」のがマナー
意外に思われるかもしれませんが、食事が終わった後のナプキンは、きれいに畳みすぎないのがマナーです。
きっちり畳んでしまうと、「お料理やサービスに満足できませんでした」というネガティブなサインになってしまうと言われています。
かといって、くしゃくしゃのまま置くのも品がありません。わざと少し崩すような感じで、軽くたたんでテーブルの左側に置きましょう。「ごちそうさまでした。美味しかったです」という感謝の気持ちを込めて、さりげなく置くのがポイントです。
STEP2:パンは手でちぎるのが基本!ソースの美味しい頂き方
コース料理と一緒に出てくるパン。これも美味しくいただくための作法があります。
パンは一口サイズにちぎってから口へ
パンはかぶりつくのではなく、必ず手で一口サイズにちぎってから口に運びます。パンくずがテーブルに落ちてしまうのが気になりますが、それはあまり神経質にならなくても大丈夫。お店の方がパンくず用のプレート(クラムスイーパー)でさっと綺麗にしてくれます。
バターやオイルは自分のパン皿で
バターやオリーブオイルが添えられている場合、パンに直接つけるのはマナー違反です。
まず、備え付けのバターナイフで使う分だけのバターを自分のパン皿(またはお皿の空いているスペース)に移します。そして、ちぎったパンにそのバターをつけていただきましょう。
残ったソース、パンで拭っていい?スマートな楽しみ方
お魚やお肉料理のソース、あまりに美味しくて「パンで拭って全部食べたい!」と思うこと、ありますよね。
実はこれ、親しい間柄での食事や、カジュアルなお店であればOKとされています。ただし、フォークにパンを刺して拭うのはNG。ちぎったパンを手に持ち、ソースを軽くつけていただきましょう。
フォーマルな席では控えるのが無難ですが、お料理をきれいに食べたいという気持ちは、作り手にとっても嬉しいものです。TPOに合わせてスマートに楽しんでくださいね。


STEP3:スープの飲み方で品格アップ!音を立てないスプーンの作法
スープの飲み方には、その人の品格が現れると言われます。音を立てずに美しくいただくコツを覚えましょう。
スプーンは「手前から奥」へすくうのがフランス式
スープをすくう時、日本ではお味噌汁の感覚で「奥から手前」にスプーンを動かしがちですが、フランス料理のマナーでは「手前から奥」へ動かすのが基本です。こうすると、スープがこぼれても自分にかかりにくくなります。
スプーンにスープをなみなみと注ぐのではなく、7分目くらいまでにして、音を立てずに静かに口に運びます。「すする」のではなく、スプーンを傾けて「流し込む」イメージです。
残り少なくなったら、お皿を奥に傾けて
スープが残り少なくなってきたら、スプーンですくいにくくなりますよね。そんな時は、お皿の縁に左手を軽く添え、少しだけ奥側に傾けると、スープが手前に集まりすくいやすくなります。
日本人に多いNGマナー!お皿は持ち上げないで
お茶碗を持つ文化のある日本では、ついスープ皿も持ち上げたくなりますが、これは絶対にNGです。どんなに軽いスープカップでも、持ち上げずにいただくのが西洋料理の基本ルールです。
STEP4:メインディッシュの美しい食べ方|ナイフとフォークの基本
いよいよメインディッシュ。ナイフとフォークの扱いはテーブルマナーの要です。
カトラリーは「外側から」使うのがルール
テーブルに複数のナイフやフォークが並んでいると、どれから使えばいいか迷いますよね。ルールは至ってシンプル。「外側にセットされているものから順番に使う」だけです。
お料理が一皿運ばれてくるごとに、一番外側のセットを使えば間違いありません。
食事中のサインは「ハの字」、終了のサインは「4時の方向」
食事の途中でナイフとフォークを置きたいときは、お皿の上に「ハの字」になるように置きます。このとき、ナイフの刃は自分側に、フォークは背を上(カーブが上向き)にして置くのが正式なマナーです。
食事が終わったら、ナイフとフォークを揃えて、お皿の右側(時計の4時の方向)に置きます。これが「食事が終わりました」のサイン。ナイフの刃は変わらず自分側に、フォークは背を下(カーブが下向き)にして揃えましょう。
【私の失敗談】お肉を一気に切り分けるのはNG!
お肉は左側から一口ずつ切り分け、その都度食べるのが正しいマナーです。一気に切ってしまうと、お肉が冷めて味が落ちてしまいますし、見た目も美しくありません。「一口切っては、食べる」このリズムを意識するだけで、とても優雅に見えますよ。
STEP5:デザートと食後のコーヒー|最後まで優雅に過ごすコツ
美味しい食事の締めくくり。最後まで気を抜かずに、優雅な時間を過ごしましょう。
カップの持ち方、ソーサーは持ち上げないのが基本
コーヒーや紅茶をいただく際、カップの取っ手を指でつまむように軽く持ちます。このとき、ソーサー(受け皿)はテーブルに置いたままにし、カップだけを持ち上げるのがマナーです。
ただし、ソファ席などでテーブルが低い位置にある場合は、ソーサーごと胸の高さまで持ち上げていただくと、かがみこまずに美しく見えます。
周りとペースを合わせるのも大切なマナー
私がついやってしまいがちなのが「早食い」。美味しいと夢中になって、気づけば自分だけ食べ終わっている…なんてことも。
食事はコミュニケーションの場でもあります。同席している人のペースをさりげなく確認し、合わせることも大切なマナーの一つです。早すぎても、遅すぎても、周りを気遣わせてしまいます。会話を楽しみながら、ゆったりとしたペースを心がけましょう。


【Q&A】こんな時どうする?フレンチ・イタリアンマナーの素朴な疑問
ここでは、よくあるマナーの疑問についてQ&A形式でお答えします。
Q. 落としたナイフやフォークはどうすればいい?
A. 自分で拾わず、お店の人を呼びましょう。
うっかりカトラリーを床に落としてしまっても、慌てて自分で拾う必要はありません。軽く手を挙げるなどしてスタッフの方に合図すれば、すぐに新しいものと交換してくれます。スマートに対応してもらうのが一番です。
Q. フランス料理とイタリアン、マナーに違いはある?
A. 基本は同じですが、イタリアンの方が少しカジュアルです。
基本的なテーブルマナー(ナプキンの使い方、カトラリーの扱いなど)は、フレンチもイタリアンもほぼ同じです。
ただし、一般的にイタリアンの方がフランス料理よりも少しカジュアルで、食事を楽しむことを重視する傾向があります。例えば、パスタを食べる際にスプーンを使うのは、実は日本独特の習慣。本場イタリアでは、フォークだけでくるくると巻き付けて食べるのが一般的です。
Q. 日本ではOKでも海外ではNGなマナーってある?
A. 音を立てて食べることは、海外では特に嫌がられます。
日本では麺類をすする文化がありますが、海外ではスープやパスタなどを音を立てて食べることは、非常にマナーが悪いと見なされます。また、食器を持ち上げて食べることもNGです。海外で食事をする際は、特にこの2点に注意すると良いでしょう。
まとめ:一番大切なのは「食事を楽しむ気持ち」と「周りへの配慮」です
ここまで様々なテーブルマナーについてお話ししてきましたが、いかがでしたか?
たくさんのルールがあって食事が楽しめない!なんて思う方もいるかもしれませんが、慣れてしまえば大丈夫です。一番大切なのは、美味しいお料理を心から楽しむ気持ちだと思います。
もしマナーに迷ったら、周りの人のやり方をそっと真似してみるのも良いと思いますし、少し所作を意識するだけでぐっと美しく見えるはずです。
ちょっとしたコツで食事を最高に楽しみたいものですね。ぜひ試してみてください。