Z世代が希望する週休3日制。その反面、会社を休むことに罪悪感を感じる謎

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記事を見て感じたZ世代の働き方の謎

私の職場には、いわゆる「Z世代」の子が何人かいます。彼ら彼女たちを見ていると、定時になったらサッと帰るし、有給も上手にとる、仕事とプライベートの切り替えが本当に上手だなぁといつも感心させられるんです。

私が若かった頃は、先輩より先に帰ることがなんとなくしづらい環境があり、会社のために尽くすのが当たり前、みたいな空気がありました。だから、彼らの働き方はとてもスマートで、新しい時代の働き方そのものだと感じていました。

でも、最近ちょっと面白いデータを見て、「あれ?」と思ったんです。

Z世代は「週休3日制がいい!」と強く希望する一方で、「会社を休むことに罪悪感を感じる」という、なんとも謎な現象。

プライベートを大切にしたいから休みは欲しい。でも、いざ休むとなると周りの目が気になってしまう…。なんだか矛盾しているように聞こえませんか?

Z世代が本当に望む働き方とは?データが示す「自分らしさ」

Z世代がどんな働き方を望んでいるのか、先日日経などでも話題になったヒューマンホールディングスが行った調査をみると、とても興味深い結果を示しています。

週休3日制への高い期待

この調査で、「職場に導入してほしい働き方・制度」を聞いたところ、Z世代の回答で最も多かったのが「週休3日制」で、なんと35.1%にも上りました。

【Z世代が導入してほしい働き方・制度 TOP5】

順位制度・働き方回答率
1位週休3日制35.1%
2位フレックスタイム制20.1%
3位副業・兼業の許可18.5%
4位短時間勤務制度17.8%
5位テレワーク・リモートワーク17.3%

*出典:ヒューマンアカデミー株式会社「Z世代の就労意識に関する実態調査」(2024年)*

この結果を見ると、「とにかく休みを増やして、プライベートな時間を確保したい」という強い意志が伝わってきます。多くの企業で導入が検討されているこの制度は、Z世代にとって非常に魅力的なようです。

大切なのは「ワークライフバランス」

さらに、同じ調査で「あなたにとって『自分らしく働く』とは?」と尋ねたところ、こちらもZ世代の回答で最も多かったのが「ワークライフバランスを保ちながら働く」で18.1%でした。

「仕事とプライベートをきっちり分ける」「好きなことや得意なことを仕事にする」といった回答も上位にきており、仕事はあくまで人生の一部であって、すべてではない。プライベートな時間や「自分らしさ」を犠牲にしてまで働きたくはない、という価値観がはっきりと見えてきます。彼らが重視するのは、仕事と生活のバランスなんだなと感じます。

ここまでのデータだけを見ると、「Z世代は仕事よりプライベート重視で、あまり働きたくないのかな?」なんて思ってしまいそうですが、話はそう単純ではないようです。

なぜ?「週休3日」を望むのに「休むことに罪悪感」を抱くZ世代の心理

ここからが、今回の本題です。あれだけ休みを望んでいるはずのZ世代、別の調査データを見て少し驚いてしまいました。

意外なデータ:「休むことに罪悪感」トップはZ世代

少し古いデータにはなりますが、株式会社メディプラスが2020年に行った調査によると、「休まない美徳」意識が最も高かったのは、なんとZ世代(26.06%)。次いでバブル世代(24.01%)だったのです。

バブル世代はわかる気がしますが、Z世代は少し違和感を感じました。

休みは欲しい。でも、休めない。この矛盾した心理の裏には、彼ら世代特有の真面目さや優しさが隠れているのかもしれません。

迷惑をかけたくない「気配りの世代」

Z世代は、デジタルネイティブとして常にオンラインで他者とつながってきた世代です。SNSなどを通じて、周りの反応や評価を敏感に感じ取りながら成長してきました。

だからこそ、「自分が休むことで、誰かに迷惑をかけてしまうのではないか」「自分の仕事のせいで、チームの負担が増えるのではないか」という不安を、私たち上の世代が想像する以上に強く感じてしまう傾向があるようです。

「相談したいけど、先輩や上司が忙しそうだから迷惑かな…」と、一人で抱え込んでしまう若手が多い、という話もよく耳にします。彼らの行動の根底には、常に「他者への配慮」があるのかもしれません。

期待に応えたい真面目さ

もう一つ感じるのは、彼らの「真面目さ」です。Z世代は、不安定な社会情勢を見て育ってきた影響からか、実はとても堅実で真面目な一面を持っています。

任された仕事はきっちりやり遂げたいし、周りからの期待にも応えたい。だからこそ、体調が多少悪くても「これくらいで休んでいたら、期待外れだと思われるんじゃないか」「やる気がないと思われたくない」と感じて、無理をしてしまうのではないでしょうか。

「週休3日」を望むのは、決して怠けたいからではなく、「決められた時間内でしっかり成果を出して、その分プライベートも充実させたい」という、非常に合理的で真面目な考え方の表れなのかもしれません。

私たち世代(氷河期・40代)との違いはどこにある?

このZ世代の価値観は、私たち氷河期世代や40代が生きてきた時代とは大きく異なります。その違いを理解することが、彼らと気持ちよく働くための第一歩だと感じています。

「会社のために」から「自分のために」へ

私が社会人になった頃は、まさに就職氷河期の真っ只中。会社に「入れてもらった」という感覚が強く、長時間労働や滅私奉公が当たり前の時代でした。「会社のために頑張る」ことが、自分の評価や安定につながると信じて疑いませんでした。

一方、Z世代は「会社と個人は対等」という感覚を持っています。会社は、自分のキャリアや人生を豊かにするための「手段」の一つ。だから、自分の成長やプライベートを犠牲にしてまで会社に尽くす、という考え方にはなりにくいのです。これはどちらが良い悪いという話ではなく、時代背景がもたらした価値観の自然な変化なのだと思います。

「休む=権利」という意識の変化

私たち世代にとって、「休む」ことにはどこか「申し訳なさ」がつきまといました。「みんなが頑張っているのに、自分だけ休むなんて…」という罪悪感です。

しかしZ世代は、(これは考察ではありますが)労働者の権利として「休む」ことを捉えているのではないでしょうか。だからこそ、「週休3日制」のような制度を堂々と要求できるのだと思います。ただ、その権利意識と、先ほど述べた「周りに迷惑をかけたくない」という強い配慮の気持ちが、心の中でぶつかり合っている。それが「休みたいけど罪悪感がある」という、一見矛盾した状態を生み出しているのではないのかなと感じました。

Z世代と気持ちよく働くための3つのヒント

では、私たち先輩世代は、この「気配り上手で真面目な」Z世代と、どうすればもっと気持ちよく一緒に働けるのでしょうか。私なりに考えた3つのヒントをご紹介します。

ヒント1:「休んでも大丈夫」という空気をつくる

一番大切なのは、私たち先輩や上司が率先して休み、休むことに対してポジティブな姿勢を見せることです。「お互い様だから、休むときはしっかり休んでね」という言葉だけでなく、自分自身が有給をとってリフレッシュする姿を見せる。そうすることで、「この職場は、休んでも大丈夫なんだ」という安心感が生まれます。

ヒント2:「迷惑じゃないよ」と具体的に伝える

彼らが休みをためらう一番の理由は「迷惑をかけること」への不安です。だからこそ、「迷惑じゃないよ」と具体的に伝えてあげることが重要だと思います。

例えば、「〇〇さんが休むときは、この業務は私がカバーするから心配しないで」「チームでフォローする体制ができているから大丈夫だよ」といった具体的な言葉が、彼らの罪悪感を和らげてくれるのではないでしょうか。私も若い頃、こんな言葉を言われたかったな(笑)。こんな言葉がすんなり発せられるように、日頃から業務の共有やマニュアル化を進めておくなど、業務が滞らない体制づくりが重要ですね。。

ヒント3:休む理由を聞きすぎない

体調不良で休む連絡があったとき、つい心配で「どうしたの?」「熱は何度?」などと詳しく聞いてしまいがちですが、これは避けた方が良いかもしれません。特にメンタルの不調の場合、根掘り葉掘り聞かれること自体が大きな負担になります。

休む理由はプライベートなこと。「承知しました。お大事に」とシンプルに受け止め、詮索しない姿勢が、相手への信頼と配慮のメッセージになります。

まとめ:Z世代の「謎」は、これからの働き方のヒントだった

「週休3日が理想だけど、休むのには罪悪感がある」

最初は少し不思議に感じたZ世代のこの気持ち。でも、深く考えてみると、それは「自分の人生を大切にしたい」という願いと、「周りの人を大切にしたい」という優しさが両立している、とても人間らしく優しい感情なのではないかと思い始めました。

自分が経験していないために、彼らには結構「謎」があると感じていましたが、むしろ、氷河期世代の私たちにこれからの働き方を考える上で、大切なヒントを与えてくれているのかもしれないなーと思えます。

個人の生活を尊重し、誰もが罪悪感なく休める環境をつくること。そして、お互いに配慮し合いながら、チームとして成果を出していくこと。

Z世代の価値観を理解しようとすることは、すべての世代にとってより働きやすい職場をつくるための、大きな一歩になるかもしれませんね。彼らが職場の主役になる時に、社会は大きな転換期を迎えるかもしれないと考えると、とても楽しみになりました。

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