「また、やっちゃった…」
ささいなことでカッとなってしまい、後から自己嫌悪に陥る。自分でもどうしてこんなに感情のコントロールができないんだろうと、一人で落ち込むことないですか?
私はまさに先日やってしまいました。以前から、なんだか心がザワザワしたり、急に不安になったり、理由もなく涙が出たり。そして、何よりやっかいなのが、突然火山のように噴き出す「イライラ」という感情です。
今回は、私自身の体験を元に、更年期のイライラという感情と上手に付き合っていくために実践している方法をご紹介します。
仕事中に感情が爆発してしまった日のこと
つい先日、仕事で感情を抑えきれなくなってしまいました。
普段からアンガーマネジメントを意識して、「落ち着いて、落ち着いて」と自分に言い聞かせていたつもりです。ところがその日は、立て続けに予期せぬトラブルが発生し、同僚の何気ない一言で、ついに堪忍袋の緒が切れてしまったのです。
自分でも驚くほど強い口調で相手を責めてしまい、オフィスの空気は一瞬で凍りつきました。後から「どうしてあんなことを言ってしまったんだろう」「きっと嫌われたな…」と、頭を抱えて落ち込みました。相手に謝らなければ、でもどんな顔をすればいいんだろう…。そんな考えが頭の中をぐるぐる巡り、その日は仕事が全く手につきませんでした。
頭では「相手に期待しすぎるのが良くない」「自分が変わった方が楽だ」と分かっているのに、心がついていかない。このどうしようもない感覚、あなたにも経験がありませんか?この苦しい経験から、私は感情をコントロールする方法を真剣に探す必要性を痛感しました。
更年期世代の女性はなぜイライラしやすいの?
なぜこの時期の女性は、こんなにも感情の波に揺さぶられやすいのでしょうか。それには、心と体に起きている大きな変化、特にホルモンバランスの乱れが関係しているそうです。
理由1:女性ホルモンのジェットコースター
更年期とは、閉経を挟んだ前後10年間、一般的に45歳から55歳くらいの期間を指します。日本人女性の平均閉経年齢は約50.5歳です。
この時期、卵巣の機能が低下し、女性ホルモンである「エストロゲン」の分泌が急激に減少します。このエストロゲンは、ただ妊娠や出産に関わるだけでなく、自律神経のバランスを整えたり、感情を安定させたりする大切な働きも担っています。
その重要なホルモンが、まるでジェットコースターのように乱高下するのです。その結果、脳内で心を穏やかにする神経伝達物質「セロトニン」の働きも低下し、自律神経が乱れやすくなります。これが、急なほてり(ホットフラッシュ)や動悸、そして理由のないイライラや不安感といった精神的な不調を引き起こす大きな原因です。まさに、ホルモンの仕業で神経が過敏になっている状態です。
理由2:仕事や家庭、変化だらけのストレス環境
更年期の時期は、女性を取り巻く人間関係や環境が大きく変化する時期でもあります。
- 仕事での役割の変化: 責任ある立場になったり、部下と上司の板挟みになったりするストレス。
- 家庭環境の変化: 子どもの独立による喪失感、親の介護問題、夫婦関係の見直しなど。
- 自身の体の変化: 体力の低下や見た目の変化に対する戸惑いや不安。
このように、心と体の両面から大きなストレスがかかることで、感情のコントロールがさらに難しくなってしまうのです。私自身もそうでした。

怒りの波に流されない。私が試したこと。
感情が爆発して自己嫌悪に陥ったあの日から、私は「もう二度とあんな思いはしたくない」と強く思いました。そこで、イライラという感情とどう向き合えばいいのか、自分なりに調べて実践してみることにしたのです。ここでは、私が実際に実践したことを紹介します。
ステップ1:まずは6秒、その場をやり過ごすテクニック
アンガーマネジメントの世界では、怒りのピークは長くて「6秒」といわれています。つまり、カッとなった最初の6秒間をやり過ごせば、衝動的な言動を避けられる可能性が高まるのです。
深呼吸でクールダウン
「ヤバい、キレそう!」と感じたら、まずはその場でゆっくりと深呼吸をしてみてください。鼻から4秒かけて大きく息を吸って、口から6秒かけて細く長く吐き出す。これを数回繰り返すだけで、高ぶった神経が少しずつ落ち着いてきます。物理的に酸素を脳に送ることで、冷静さを取り戻す手助けになるんです。私はトイレに駆け込んで、個室でこっそり深呼吸することがよくあります。
ステップ2:イライラの原因を書き出して「見える化」する
その場をやり過ごせたら、次は少し落ち着いた場所で、自分の気持ちと向き合ってみましょう。私が効果的だと感じたのは、感情を「書き出す」という方法でした。
何に、どうしてイライラした?正直な気持ちをメモしよう
ノートやスマホのメモ帳に、何に対して、なぜイライラしたのかを正直に書き出してみます。誰かに見せるわけではないので、どんな言葉でもOK。「〇〇さんのあの言い方がムカついた」「なんで私ばっかりやらなきゃいけないの!」といった、ドロドロした感情をそのまま吐き出してみましょう。
不思議なもので、頭の中でモヤモヤしていた感情も、文字にしてみると「なんだ、私はこんなことで怒っていたのか」と冷静に受け止められることがあります。
ステップ3:自分を責めない。「まあ、いっか」を合言葉に
イライラしてしまった後、一番やってはいけないのが「自分責め」です。「また怒ってしまった、私ってダメだな…」と落ち込むのは、もうやめにしませんか。
更年期は、ホルモンの嵐が吹き荒れている状態。そんな中で感情が揺れるのは、ある意味、不可抗力です。自分を責めるのではなく、「ホルモンのせい、ホルモンのせい」「まあ、いっか」と、自分を許すことにしました。気にしすぎない、これも重要なポイントです。

更年期の心を軽くする、毎日の小さな習慣づくり
イライラした時に対処するだけでなく、普段から心を穏やかに保つための習慣を取り入れることも、とても大切です。ここでは、私が続けている小さな習慣を紹介します。
5分間の瞑想で心をリセット
寝る前に5分間だけ、瞑想を取り入れています。といっても、難しいものではありません。あぐらをかいて、目を閉じて、ただ自分の呼吸に集中するだけです。YouTubeで瞑想と検索するといろいろでてきます。何も考えない時間ができることで心も頭もスッキリします。
「とりあえず寝る」が最強の処方箋だった話
イライラしたり、モヤモヤしたりしてどうしようもない夜は、あれこれ考えるのをやめて、さっさと寝てしまうのが一番です。厚生労働省の調査でも、睡眠で休養がとれていない人は、心の不健康のリスクが高いことが示されています。悩んでも解決しないことは、一度忘れて布団に入る。翌朝、意外とスッキリしている自分に驚くはずです。人間関係のモヤモヤ、どう乗り越える?
イライラと上手に付き合っていこう
更年期のイライラは、本当につらいものです。でも、ずっと続くことはありません。怒るのも体力がいるものです。
きっと今だけ、またすぐに過ぎる、こういった自己暗示をするだけでもイライラを回避することに繋がります。
私は「怒っている自分、とてもブスだな」と思うようにしました(笑)これも結構冷静になれる自己暗示です。
イライラは辛いものですが、自分とうまく向き合っていくしかありません。今日はダメでも明日は少しマシになる、そんな風に思って過ごしたいですね。