先日、お笑い芸人のミッチェルさんが47歳という若さで病気のためにお亡くなりになりました。同じくらいの年齢なのでとてもショックでした。心よりご冥福をお祈りいたします。
彼女の命を奪った子宮体がんという病気。実は、私の親戚も子宮体がんを経験しており、その怖さを身をもって知っています。
40代を過ぎ、更年期にさしかかると、体の変化を「まあ、こんなものかな」と受け流してしまうことが増えませんか? 今回もミッチェルさんの訃報に触れ、その「こんなものかな」に隠れているかもしれない病気のサインを見逃してはいけないと、改めて強く感じています。
この記事では、私自身の経験や親戚の話も交えながら、40代以上の女性にぜひ知っておいてほしい子宮体がんの症状や前兆について、できるだけ分かりやすく紹介します。
ある日突然、ではなくサインは出ていたのかもしれない
病気は、ある日突然やってくるように感じられるかもしれません。しかし、多くの場合、体はSOSのサインを送ってくれているかもしれません。ミッチェルさんがどうだったかはわかりませんが、47歳という若さでそこまで進んでしまうことに、正直、恐怖を感じました。
私の親戚もそうでした。閉経して1年以上経ってから不正出血があったのに、「閉経後は不安定になるって言うし…」と自己判断で病院に行かなかったのです。大切なのは、小さな変化に気づき、「いつもと違う」と感じる感性を持ち続けることなのかもしれません。
「更年期だから」で片付けないで。自分の体を守るために知ってほしいこと
更年期は、ホットフラッシュや気分の浮き沈みだけでなく、不正出血やおりものの変化など、さまざまな不調が現れる時期です。だからこそ、これも更年期の症状の一つだろうと見過ごしてしまわず、気になる症状があれば必ず受診したほうがよいと思いました。

そもそも子宮体がんってどんな病気?
「子宮がん」と聞くと、子宮頸がんを思い浮かべる人が多いかもしれません。でも、子宮体がんと子宮頸がんは、できる場所も原因も異なる、まったく別の病気なんです。
子宮頸がんとは違うの?できる場所が異なります
子宮は、赤ちゃんが育つ「体部(たいぶ)」と、腟につながる「頸部(けいぶ)」に分かれています。
- 子宮体がん:赤ちゃんを育てる部屋である子宮体部の内側にある「子宮内膜」から発生するがんです。
- 子宮頸がん:子宮の入り口である子宮頸部にできるがんです。
子宮頸がんの主な原因はヒトパピローマウイルス(HPV)の感染ですが、子宮体がんの発生には、女性ホルモンである「エストロゲン」が深く関わっていると言われています。
40代後半から増え始め、50〜60代がピークに
子宮体がんは、閉経を迎える50代から60代で発症のピークを迎えます。しかし、国立がん研究センターのデータを見ると、40代後半から患者数がぐっと増え始めるのが分かります。
【データ紹介】子宮体がんの罹患率の推移
下のグラフは、国立がん研究センターがん情報サービスの2019年のデータに基づいた、子宮体がんの年齢階級別罹患率です。
年齢階級 | 罹患率(人口10万人あたり) |
30代前半 | 1.8 |
30代後半 | 3.9 |
40代前半 | 11.2 |
40代後半 | 28.5 |
50代前半 | 50.3 |
50代後半 | 61.6 |
60代前半 | 68.3 |
60代後半 | 64.9 |
70代前半 | 59.3 |
※出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん登録)
このデータからも分かるように、40代に入ったら「まだ若いから大丈夫」ではなく、「そろそろ気をつけよう」という意識を持つことが大切です。
これだけは見逃さないで!子宮体がんの初期症状
子宮体がんは、比較的早い段階からサインが出やすいがんと言われています。そのサインを見逃さないことが、早期発見の鍵になります。
最も多いサインは「不正出血」です
子宮体がんの最も代表的な症状は、月経(生理)以外の出血、つまり「不正出血」です。患者さんの約90%に、この症状が見られると言われています。
- 閉経したはずなのに、また出血があった
- 生理期間がいつもより長く、だらだらと続く
- 生理と生理の間に少量の出血がある
このような症状があったら、たとえ少量でも、一度きりでも、婦人科を受診することを強くおすすめします。
私の親戚の場合:閉経後の出血を放置してしまった話
冒頭でお話しした私の親戚は、閉経後1年以上経ってからの出血を「まあ、こんなものだろう」と放置していました。何度か少量の出血があったそうですが、病院には行かなかったのです。
そしてある日、いつもの不正出血だと思っていたら、突然、意識を失うほどの大出血を起こし、救急搬送されました。診断は、進行した子宮体がん。幸い一命はとりとめましたが、治療は大変なものでした。親戚はいつも「あの時、最初の出血で病院に行っていれば…」と話しています。
「茶色いおりもの」も不正出血のサインかも
「出血」というと真っ赤な血をイメージするかもしれませんが、血液が空気に触れて酸化すると茶色っぽくなります。そのため、「茶色や黒っぽいおりもの」が続く場合も、実は少量の出血が混じっているサインかもしれません。これも不正出血の一種と考えて、注意してください。

おりものの変化も大切なサイン
不正出血と並んで、おりものの変化も重要なサインです。普段と違うなと感じたら、色や状態をよく観察してみてください。
水っぽいおりものや膿のようなおりものに注意
- いつもより水っぽく、サラサラしたおりものが増えた
- 膿(うみ)のようにドロッとして、嫌なにおいがする
- 血液が混じったようなピンク色や茶色のおりものが出る
これらは、子宮内膜で炎症や出血が起きているサインかもしれません。おりものは体調のバロメーターです。変化を見逃さないようにしましょう。
進行すると現れる症状
がんが進行すると、子宮の周りの臓器にも影響が及び、痛みなどの症状が現れることがあります。
下腹部の痛みや腰痛
進行してがんが大きくなると、子宮が引き伸ばされたり、周りの臓器を圧迫したりして、下腹部や腰に痛みを感じることがあります。生理痛のような痛みや、鈍い痛みが続く場合は要注意です。
性交時の痛みや排尿時の違和感
がんが腟や膀胱、直腸の近くまで広がると、性交時に痛みを感じたり、排尿時に痛みや違和感があったり、頻尿になったりすることもあります。
「もしかして?」と思ったら。ためらわずに婦人科へ
少しでも気になる症状があれば、どうかためらわずに婦人科を受診してください。「検査が痛そう」「恥ずかしい」という気持ちもよく分かります。でも、その一歩があなたの未来を守ることにつながります。
検査を受けることの大切さ。私が婦人科の先生に言われた言葉
私も定期的に婦人科検診を受けていますが、以前、かかりつけの先生にこんなことを言われたことがあります。
「子宮の病気は、自分では見えないし触れないから怖いんです。だから、何も症状がなくても、3ヶ月に1回くらい顔を見せに来るつもりでいいんですよね」
この言葉を聞いて、とても安心したのを覚えています。プロに定期的にチェックしてもらうこと。それは、自分では見ることのできない体の内部への、何よりの安心材料になるのだと実感しました。
内診はできるだけしたくない気持ちになりますが、できるだけ定期的に検査をすることが未然に防ぐ第一歩かなと思います。
早期発見できれば怖くない。自分のための定期検診を
子宮体がんは、早期に発見して治療を開始すれば、治る可能性が非常に高いがんです。国立がん研究センターのデータによると、Ⅰ期の段階で発見された場合の5年相対生存率は95%を超えています。
つまり、怖いのはがんそのものよりも、「発見が遅れること」なのです。
私が3ヶ月に1回の検診を続ける理由
私も過去に子宮の病気に悩まされた一人なので、先生の言葉もあって、私は今も3ヶ月に1回、婦人科で検診を受けています。もちろん、毎回何も異常はありません。「また来てくださいね」と言われて帰るだけです。
でも、この「何もない」を確認することが、私にとっては大きな安心につながっています。もし何かあっても、このペースならきっと早期に見つかるはず。そう思えるだけで、精神的にも少し違いますよね。
ご覧の皆さんもぜひ、安心して毎日を過ごせるように定期検診をおすすめします。